歯科訪問診療とは
在宅での歯科診療について
口腔ケアについて
広義には口腔のもっているあらゆる働き(摂食、咀嚼、嚥下、構音、審美性・顔貌の回復、唾液分泌機能等)を健全に維持する、あるいは機能の障害がある場合、それをケアすることを指します。狭義では口腔衛生管理に主眼を置く一連の口腔清掃と義歯の清掃などを指します。
口腔ケアの効果
唾液の分泌を阻害する残留物や細菌で口腔内が不衛生な状態では、唾液が出にくくなり口の中が乾燥します。口の中を清潔にすると、唾液の分泌が促進されます。また、歯ブラシなどで「唾液腺」を刺激することで唾液腺の働きを活発にし、分泌量を増やします。唾液には歯や口の粘膜を保護したり、虫歯や歯周病を予防したりする役割があり、唾液量を増やすことは口腔ケアにおいて重要なポイントです。
口腔ケアをしっかり行わないと口腔内が菌の温床となり、感染症や肺炎にかかりやすくなることがあります。
口を開けたり閉じたりして噛んで食べる咀嚼(そしゃく)という行為は、脳に血液を送ったり刺激を与えたりするため、認知症を予防するといわれます。歯が20本以上残っている人に比べて、歯がなく入れ歯も使用していない人は、認知症リスクが1.9倍も高いという研究結果も出ています。
嚥下(食べ物を飲み込むこと)機能が衰えると、食べ物や唾液が気管に入ってしまうことがあります。口腔内の細菌が肺に入って起こるのが「誤嚥性肺炎」です。口腔内の汚れや細菌を減らすことは、誤嚥性肺炎の予防につながります。誤嚥性肺炎は高齢者の命に関わることもあり、しっかり予防することが重要です。
高齢者は「噛む」「飲み込む」「呼吸する」「話す」「表情を作る」といった口腔機能全般が低下しやすい傾向にあります。口腔機能が衰えると、十分な栄養が摂取できなくなり、免疫力の低下や摂食障害につながります。口腔ケアを通して体全体の健康の回復が期待できます。